マグネットブレーキの話をする前に、2500Cの話をもう少し。
最近のベイトリールの多くが、レベルワインダーを動かすためのギアがハンドル側についています。
これは、クラッチを切ってキャストするときに、スプールだけをフリーにして回すためで、またクラッチを入れるとレベルワインダーが左右に動き出します。
キャストの時にラインが放出される抵抗だけを考えると、レベルワインダーの狭い部分をライン が通ることは、非常に抵抗があるように感じられ、レベルワインダーが無ければ抵抗はほとんど無くなると考えられます。
しかし、実際レベルワインダーを無くすことは無理なので、この抵抗は仕方ないものとなっています。
メーカーはこの問題に色々と対策を考えていて、最近ではダイワのT3などに、これに対応するシステムが見られます。
まあ、私の最近のタックルに対する知識はカタログから見るものしかないので、実際に使ったことはありません。
昔のタックルにもこの問題の対策を考えたものがあります。
画像左はファントムトーナメントSS-15ですが、このシリーズにはゼロレベルというシステムがあり、クラッチを切るとレベルワインダーが2つに別れて左右に開き、ライン放出抵抗を無くすことができます。
クラッチを入れると、レベルワインダーが動き出し、左右に分かれたパーツが合わさってまた1つになります。
画像右のAbuウルトラマグシリーズには、クラッチを切ると、レベルワインダーを押さえていたピンのようなものが外れて、レベルワインダーがフリーに動くようになり、ライン放出抵抗を押さえるシステムがついています。
この他のリールにも同じような対策をしたものがあるかもしれませんが、私は知りません。
しかし、この手のシステムは思ったほどの効果が無かったのか、システムを組むためにパーツが増え、自重が増え、しかもトラブルが発生したりと、後に残るようなものは出来ませんでした。
現在ではT3により解決されたのかもしれませんが、この問題は永遠のテーマだったのです。
一方、2500Cを含むAbuの丸型リールの多くが、レベルワインダーを動かすためのギアがパーミングカップ側に付いていて、クラッチを切ってキャストするときも、スプールと同調してレベルワインダーも動きます。
Abuが何を考えてこうしたのかは分かりませんが、レベルワインダーのライン放出ロスを考えた時には、巻き取った時と逆にレベルワインダーが動いて行くのですから、レベルワインダーは常に放出されるラインの位置にあるため、抵抗は少なくなると考えられます。
6000番台などの幅広リールなどでは、効果は顕著に出るでしょう。
しかし… です。
レベルワインダーがスプールと同調して動くと言うことは、クラッチを切っても完全にスプールがフリーならないので、それ自体が抵抗となるということです。
この抵抗 を少なくするために、ベアリング入りのレベルワインダーの軸を支えるパーツや、ベアリング入りのコグホイルなどが社外パーツで売られているのです。
これにより、ある程度抵抗は軽減出来るでしょうが、ゼロにはならないため、現代のリールに比べると、スプールをフリーにしたときの回りかたは雲泥の差です。
しかし、いくらスプールがフリーに良く回ったとしても、その分ルアーが飛んで行く訳ではありません。
ルアーが飛んで行くスピードを上回って、スプールが良く回った場合…
そうです。待っているのはバックラッシュです。
そうならないために、ベイトリールにはキャストコントロールがあり、マグネットブレーキや遠心ブレーキが付いているわけです。
Abuの丸型リールがキャストするときに、レベルワインダーが一緒に動くことは、悪く言えば抵抗、良く言えばほどよいブレーキとなるわけです。
いまだにAbuの丸型リールが昔のままこの辺を変えずに作り続けているのは、レベルワインダーがブレーキとしての役割をバランス良く行っているからかも知れません。